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「求職者をグリップする」という言葉に隠された落とし穴

    業界内でよく使われている「求職者をグリップする」という言葉、どのような意味合いで使用していますか?この言葉が持つ落とし穴と、今後必要になってくるであろう考え方について解説している記事です。

    「求職者をグリップする」という言葉は、人材紹介業に関わる人なら、一度は耳にしたことがある言葉だと思います。

    「効率的に入社に導くことが最重要事項」とされている現状の紹介事業の市況観では、「いかに求職者をコントロールするのか」が、重要な要素だからです。

    しかし、「求職者をグリップする」という言葉は非常に曖昧で、定義は人によって様々です。

    上司が新人コンサルタントに「グリップできている?」という聞いたり、「しっかりグリップしなさい」と指示を出しても、新人エージェントには正しく伝わらない可能性の方が高いのではないでしょうか。

    本記事では、この言葉に隠された落とし穴について触れ、これからの時代重要になってくるであろう別のアプローチ方法について言及していきたいと思います。

    「グリップする」とは

    plan

    グリップとは、基本的に「握る」ことを意味する言葉です。

    たとえばゴルフクラブの握りの部分のことを「グリップ」と呼ぶほか、ゴルフクラブの握り方の良し悪しを「グリップが良い」「グリップが悪い」などと評価することもあります。

    ビジネスシーンにおける「グリップする」の意味

    「グリップする」という言葉は、ビジネスの現場でも使用されます。

    ビジネスシーンにおける「グリップする」とは「認識を揃えることができている」「約束を取り付けられている」という意味です。

    たとえば「先方の担当者、グリップできている?」というフレーズは「相手先企業の担当者と、契約に関する認識が揃っているか」「契約の日取りについて、約束を取り付けることはできているか」などを確認する言葉です。

    「グリップする」というフレーズは、人材紹介業でもよく使用されるフレーズです。では人材紹介業における「グリップする」とはどのような意味合いの言葉なのでしょう。

    「求職者をグリップする」の言葉に隠された意味

    人材紹介会社では「グリップ」とはどのような意味合いやニュアンスで使用される言葉でしょうか。

    一般的に「グリップ」という言葉は、「握る」という意味で使われることが多いですが、紹介事業においても同じようなニュアンスで使用されています。

    しかし、この言葉には求職者へのリスペクトや価値提供の視点が度外視されているようで、決して気持ちの良い言葉には聞こえないという理由で、このワード自体を使わない紹介事業者も多くあります。

    とはいえ一般的には、限られた求人の中で入社に導くため(売上に繋げていくため)に、”求職者の意向をコントロールできる状態”を、「グリップされた状態」と呼んでいるケースが多いようです。

    もちろん成果を出すために、信頼関係が構築できている状態をグリップができている状態と、呼んでいるケースもあるかもしれません。

    様々な使い方がされていますが、この業界ではグリップという単語が一般的に求職者をコントロールする言葉として、使用されていることがわかります。

    「求職者をグリップする」の言葉の落とし穴

    plan

    この言葉に隠された落とし穴は、言葉自体の曖昧な定義だけでなく、求職者に対する対応方針を大きく左右するワードだからです。

    例えば上司が部下に対して、「求職者をグリップしなさい」と指示を出した場合ですが、「上司が信頼関係構築のために時間をかけてヒアリングをしてきなさい」という意味合いで使っていたとしても、部下が全く違う受け取り方をする可能性があります。

    例えば、求職者をコントロールするためのアプローチとして、マウンティングアプローチに走ってしまう可能性があります。
    これは、自身の立場が上であることを暗に示し、心理的な位置関係の上に立つ手法です。
    このようなアプローチも求職者のグリップに、一定数の効果があるかもしれません。

    しかし、このようなケースはそれぞれの意図にズレが生じているだけでなく、会社内で大きく求職者対応の方針にズレがでる可能性があります。

    今後は紹介事業者の増加やエージェント評価の可視化により、求職者への独自提供価値は問われ続けていくことになります。

    その結果、求職者への価値提供を度外視したアプローチは、今後は淘汰されていってしまう可能性も高いです。

    つまり、言葉の定義が曖昧なだけでなく、悪い方向に解釈しやすいワードが選定されていることが一番の落とし穴といえるのです。

    求職者が「人材紹介会社はブラック」という印象を抱く理由になる

    recruitment

    人材紹介会社では「グリップする」という言葉が、しばしばキャリアコンサルタントが求職者をコントロールすることを指すものとして使われます。

    すると、求職者にとっては人材紹介会社は「ブラック」という印象が強まります。

    求職者とキャリアコンサルタントの間に信頼関係が芽生えなければ、求職者と求人者のマッチングを成立させることは困難です。「信頼していないキャリアコンサルタントから案件を紹介された」としても、転職する人は多くはないでしょう。

    人材紹介会社は求職者(個人)と求人者(企業)のマッチングが成立した際に、求人者から受け取る紹介手数料が収益源です。

    つまり求職者(個人)に対して、どれほどサービスを提供しても、企業とのマッチングが成立しなければ売上にはなりません。人材紹介会社のビジネスモデル上、個人に対する対応は元々やや粗雑になりやすい傾向はあると言えるかもしれません。

    だからこそ、求職者との関係値は可能な限り良好に保ちたいものです。求職者が人材紹介会社を「ブラック」と感じる理由は、こちらの記事でより詳しくまとめています。

    「求職者に寄り添う」というワードが浸透していく業界

    会社によって、入社数を最大化するためのアプローチはそれぞれの方法があって良いと思います。

    しかし先ほども言及したように、今後は市況観も大きく変化していくことも見えている状況では、求職者の意向を度外視し数を重視した紹介を行っていては、業界で生き残っていくことが難しいかもしれません。

    つまり、今後は「求職者をグリップする」にとって替わるキーワードとして、「求職者に寄り添う」というワードが業界全体に浸透していくのではないでしょうか。

    今後は、求職者をグリップしにいかなくても、求職者に徹底的に寄り添うことが、最大のグリップ(信頼獲得)に繋がっていくはずです。

    人材業界の中長期的な展望と「求職者価値」

    中長期的な視野に立つと、国内市場は必ず「少子高齢化」に直面します。

    みずほ総合研究所の調査では、40年後には労働人口が4割減少するとされています。

    一方で企業が求める人材は「ハイクラス人材」「ITエンジニア」「医療・介護」など高度な専門性や知見を持つ若手〜中堅のビジネスパーソンに偏っています。

    つまり、短期的にはコロナ禍で有効求人倍率が低下傾向にあるものの、中長期的にはハイクラス人材に求人が集中。

    人材紹介会社同士で、一部のハイクラス人材を奪い合う構造が生まれるでしょう。今後は「採用市場の需給バランスの変化」によって、求職者価値を最大化できているエージェントが成果を出しやすくなる市場になっていくはずです。

    「求職者をグリップする」という意識よりも、「求職者に寄り添う」意識を持つ方が、結果的に入社数は最大化されていくのではないでしょうか。

    ポテンシャル採用はどうなる?

    office

    求職者に寄り添う意識は、ポテンシャル採用でも求められます。

    労働人口が減る中で、現実的に多くの仕事は「AI」「外国人労働者」などに置き換えられていくでしょう。日本人の未経験者を雇用するよりも、AIを活用した方が安いという場面も生まれてくるのではないでしょうか。

    未経験者を中心に扱う人材紹介会社では、今後、求職者に対する教育や高度な研修の実施などがセットで求められる可能性があります。

    高度な教育にもまた「求職者に寄り添う姿勢」が求められるでしょう。人材ビジネスの今後の展望は、こちらの記事でもまとめています。

    まとめ

    業界の慣習として、「求職者のグリップ」という言葉が当たり前でしたが、今後は「求職者に寄り添う」ことができるエージェントが生き残っていく時代です。
    まさに業界の変革の時期がやってきているのではないでしょうか。

    またこの時期にマインド変化させていくことこそが、求職者集客の困難な時代において、大きな差別化要素となってくれることは間違いありません。

    求職者対応に時間を割いていくことが実は事業成功において近道なのです。

    最近では、自社では求人開拓は一切行わず、外部求人データベースサービスを利用する企業が増えてきました。

    求職者への価値提供にフォーカスができるからです。

    立ち上げ時期は出来るだけ外部リソースも使いながら、軌道修正ができる状態を保っていくことが重要です。

    ※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。

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