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市場動向
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ウィズコロナ時代の人材ビジネスの社会的価値・展望・今後

    ウィズコロナ時代の人材ビジネスの社会的価値や展望をまとめます。コロナ渦でジョブ型雇用などが大きく広がる中、社会全体の就業率を高める役割が期待される人材ビジネス。短期~中長期の展望や役割を解説します。

    人材ビジネスの手がける範囲は多岐に渡ります。ただし、人材ビジネスの主役は「人材」であることは間違いありません。

    自社の売り上げや予算達成ばかりを優先すると、時にはその人材にマッチしない求人を紹介し、転職者の人生を狂わせてしまうかもしれません。

    だからこそ、人材ビジネスに携わる人は「人材ビジネスの価値」や「公共性」を常に意識し続けることも大切です。

    今回は人材ビジネスの役割や展望、今後について考察していきます。

    そもそも人材ビジネスとは何か

    人材ビジネスとは「人材」の就業を様々な形で仲介する事業です。

    • 人材を紹介する
    • 人材を育成する
    • 人材を評価する
    • 人材を支援する

    など様々な役割があり、そのどれもが人材ビジネスを手がける企業の役目です。

    より多くの人々が就業機会を得ることや、一人ひとりの職業能力の専門化と高度化の実現は、人的資源の有効活用になり、ひいては、経済の活性化につながります。

    人材業界の主要3業種

    人材業界の業種のうち「主要3業種」と呼ばれるのが、人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業です。

    3業種のうち、もっとも売上高が大きな市場が人材派遣業です。各業種の売上高は以下の通りです。

    • 人材派遣業:6兆6,800億円(前年度比4.7%増)
    • 人材紹介業:3,080億円(同1.7%増)
    • 再就職支援業:248億円(同3.3%増)

    人材業界の主要3業種を中心とした、市場規模の分析や今後の動向については以下の記事で詳しく解説しています。

    企業の人材活用ニーズは3つのフェーズに分かれる

    recruitment

    人材ビジネスの主要3業種(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の他にも、「求人広告」「HRテック」など様々な業種があります。

    大別すると、企業の人材活用ニーズは3つのフェーズに分かれ、フェーズごとに色々な企業がサービスを提供していると言えます。

    採用

    IT

    採用は、企業のニーズに合致した人材の採用を実現するための仲介サービスを指します。

    人材会社は求人広告や人材派遣、人材紹介、ヘッドハンティングなど様々な手法を活用し、企業が求める人材を紹介することを目指します。

    活用

    plan

    「活用」とは研修や人材育成、人材評価、メンタルケアなど、企業の「人的資本の管理と、価値の最大化」を指します。

    近年注目されている考え方の1つである「タレントマネジメント」も、活用の一種。タレントマネジメントでは従業員の持つ能力を人事の情報の1つとして管理し、組織的な人事配置や戦略的な育成を目指します。

    従来は属人的だった研修や人材育成ですが、ここ数年は「HRテック」が盛り上がりを見せており、テクノロジーの導入も進んでいます。

    再就職支援

    job

    再就職支援は、人材ビジネスのうち「退職後」にかかるものです。企業が希望退職者の募集を行った際などに、退職者の再就職を支援することを主な目的としています。

    退職者向けのキャリアカウンセリングや転職先の紹介などを指します。

    ウィズコロナ時代の人材ビジネスの役割とは

    medical

    新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、有効求人倍率の低下が続いています。
    令和2年7月分の正社員有効求人倍率は0.81倍。2020年1月には1.07倍を記録していた倍率が、急激に下降を続けています。

    新型コロナの治療法の確立や、ワクチン開発の進捗にも左右されるものの、有効求人倍率の回復には一定の時間を要するものと予測されます。

    こうした社会背景を踏まえた上で、ウィズコロナ時代の人材ビジネスの役割についてまずは考えていきましょう。

    結論から言えば、短期的には景気悪化は避けられず、人材会社は求人確保を最優先することが必要です。

    一方で中長期的な視点に立つと、人材紹介業の「公共性」も意識し、労働力人口の減少や働き方の多様化に対応していくことも「人材ビジネスの役割」の1つと言えるでしょう。

    人材ビジネスにおける新型コロナウイルスの影響

    2020年3月には、約3年4カ月ぶりに日経平均株価1万7千円を下回るなど、新型コロナウイルスによる経済活動の停滞は日本経済にも大きなダメージを与えています。

    中でも、人材ビジネスは市況に左右される業界です。

    好況時は各社が採用を強化するため、求職者(個人)と求人者(企業)のマッチングがしやすい傾向にあります。

    また経営状態に余裕がある企業は、人材の育成コストを確保できるため、実務未経験者のポテンシャル採用も積極的に行われます。よって、人材会社にとっては求人数を確保しやすいです。

    一方、景気の先行きが不透明になると、企業は採用数を大きく絞り込みます。よって求職者と求人者のマッチングの難易度が上がり、人材会社の売上は落ち込みやすくなります。

    こちらの記事では、人材ビジネスにおける新型コロナウイルスの影響をより詳しくまとめています。

    ウィズコロナ時代の人材ビジネスの役割・社会的価値

    ウィズコロナ時代の人材ビジネスの役割は、どのようなものでしょうか。

    まず短期的には、可能な限り求人数を確保することが大切な役割でしょう。経済の先行きが不透明になる中、多くの企業が希望退職者の募集などを通じ、経営のスリム化を図っています。

    一方で、コロナ禍でも積極的に採用を続ける企業もあります。求人数を確保し、厳しい経済情勢の中でも1件でも多くマッチングを成立させることは、人材ビジネスの社会的使命の1つです。

    中長期的な役割

    office

    中長期的には「企業が多様な人材を活用できる環境を整えること」も、ウィズコロナ時代の人材会社の役割として大切です。

    後述するとおり、企業が求める人材は若手のハイクラス人材などに偏りやすく、中高年の再就職支援などは苦戦しやすいのが現実です。

    日本の労働力人口は、年々減少していきます。

    未経験者や中高年をどのように労働力として評価し、企業とのマッチングを実現させるかは人材会社に問われる大きな課題です。

    人材ビジネスの弱点

    新型コロナウイルスが与える経済への影響

    先ほど「短期的には、可能な限り求人数を確保することが大切」と、人材会社の役割について述べました。

    ただし求人数だけを確保しても、人材会社の売上には繋がりません。企業が求める人材を、求職者として確保することも大切です。

    そして、求職者集めは人材ビジネスの大きな弱点になりやすい箇所でもあります。人材ビジネスの今後の展望を考える上で、踏まえておくべき「人材ビジネスの弱点」を見ていきましょう。

    労働力人口の減少は避けられない

    みずほ総合研究所の調査では、40年後には少子高齢化の影響で労働人口が4割減少するとされています。(※1)

    労働人口の減少は、経済の緩やかな衰退も意味します。人材業者にとっては、求職者と求人者の双方の確保が中長期的に難しくなっていくでしょう。

    労働力人口が不足する中で、企業は「労働人口が減っても生産性を維持するための仕組みづくり」と「労働参加率の向上」を同時に検討する必要があります。

    企業が求める人材には「偏り」がある

    一般的に企業は、業務経験が豊富な20代〜30代の若手社員の中途採用を好みます。

    業務経験を持つことから人材育成コストが低く、なおかつ若手であることから長きにわたっての活躍が期待されるためです。

    特にITエンジニアなど、慢性的に人手不足に陥っている業界では、多くの企業が似たような人材を求め求人を出し続けている状況です。

    このように、企業が求める人材には偏りがあります。労働力人口が減り続ける中で「どの企業も欲しがるような高度人材」を確保し続けることは、至難の技であり、これからより見つけにくくなるでしょう。

    【アフターコロナ】人材ビジネスの今後の展望

    最後に、アフターコロナの人材ビジネスの展望について見ていきましょう。

    2020年以降の人材紹介業に起きる変化は、こちらの記事でもまとめています。併せて、目を通してみてください。

    主役は「人材」であることは今後も変わらない

    アウトバウンド営業

    人材紹介業の主役は、「人材」です。

    つまり、人材紹介業は「人材に提供する価値」を最大化することを目指すことが、本質的には最も重要です。

    キャリアゴールの設定を手伝い、足りないスキルや経験を明確化。キャリアパスを設計し、その人が望むキャリアを実現するために適切な求人紹介や面接対策を提供。もしも、その人の望むキャリアにとって転職がマイナスならば、今の会社にとどまることを提案するのも大切な仕事です。

    求人サイトに書かれている程度の情報しか提供できない人材紹介会社は、SNSなどを活用したダイレクトリクルーティングに役割を代替され、消失していくでしょう。

    人材紹介業の「公共性」も意識する

    人材紹介の入金サイクル

    人材紹介業とは、非常に公共性の高い仕事です。

    企業の人材活用パートナー、また個人のキャリアコンサルタントとして業務を遂行するポジションにあり、社会全体の就業率を高めることが期待される業種だからです。

    しかし人材紹介業者が利潤ばかりを追求し「とりあえず1つでも多くの案件に応募させよう」というスタンスで事業を行うと、個人と企業のミスマッチが続発します。

    社会の就業率は高まらず、減少し続ける労働力人口の有効活用も行われません。
    短期的な展望だけでなく、社会全体の労働力人口を活用するという視点に立ち、人材活用のあり方の転換に向き合うことも大切です。

    時代は「個」に移っていく

    programming

    コロナ禍で注目された雇用形態の1つに「ジョブ型雇用」があります。

    ジョブ型雇用とは職務内容や報酬を事前に明確にし、そのポストに適切な人材を採用するという考え方です。裏を返せば、その職務がなくなれば、その人材は解雇されるリスクが高いということでもあります。

    終身雇用が崩壊し、コロナ禍で普及したリモートワークが今後も定着する可能性が高いなか、人材の流動性はこうした「ジョブ型雇用」や副業解禁、フリーランスの増加によってより高まっていくでしょう。

    人材が流動化する中で、企業は多様な人材をどのように採用し、使いこなすべきなのか。

    人材ビジネスを手がける事業者には、ハイレベルな採用コンサルティングも求められるでしょう。

    まとめ

    ウィズコロナ時代の人材ビジネスの社会的価値や展望をまとめました。

    人材ビジネスは、人的資源の有効活用や経済の活性化に繋がる重要な職種です。コロナ禍でジョブ型雇用などが大きく広がる中、社会全体の就業率を高める役割が期待されます。
    また企業に対しては人材が流動化する中で、多種多様な人材をどのように採用し、使いこなすかをコンサルティングする役割も求められるようになるでしょう。

    (※1)みずほ総合研究所「少子高齢化で労働力人口は4割減」

    ※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。

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