人材紹介事業者必見!”職業安定法”改正 完全ガイド2020
人材紹介事業(職業紹介)は国の許認可事業であり、職業安定法により求職者は保護されています。人材紹介事業者は職業安定法について理解した上で事業を運営する必要があります。
2017年3月31日に職業安定法を含む、「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。それに伴い、人材紹介事業を運営する事業者は、2018年の1月1日から事業運営のルールにいくつか変更がありますので、人材紹介事業者はいくつかの対応策を講じる必要があります。
本記事では職業安定法の改正によって、人材紹介事業者はどのような対応をする必要があるのか、対応必要箇所を抜粋して解説していきます。
厚生労働省への報告義務の変更
人材紹介事業者は、これまでの年1度の労働局への報告に加えて、下記の厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」から追加項目の報告を行う義務ができました。
下記が、主な報告事項となります。こちらの項目において報告時期が来た時に、できるだけ簡単に報告ができるように、今からデータを取得する管理方法を構築するなど、対応しておくのがおすすめです。
情報提供が必要な事項
- 各年度(各年の4月1日~翌年の3月31日)に就職した者の数
- 就職人数のうち、無期雇用就職者の数
- 就職人数のうち、6ヶ月以内の離職数
- 就職人数のうち、就職から6か月以内に離職したか否か不明な人数
- 手数料表の内容
- 返金規定(採用フィーの返還規定)の有無とその規定内容
- 【任意】その他、職業紹介事業者の選択に資すると考えられる情報
情報提供の方法と時期
下記リンクの「人材サービス総合サイト」から報告します。
報告時期については、下記の通りです。上記の項目一覧の(1)(2)については、毎年4月の1ヶ月間に報告、(3)(4)については、毎年10月〜12月に昨年度の退職期間を集計し報告します。
とはいえ、4月と12月は求職者の転職活動が活発になる時期ですよね。この時期の報告業務に時間リソースを使いすぎることになり、人材紹介事業に支障が出ないように事前に準備を進めておくようにしましょう。
求職者への明示事項の変更
また求職者に対しては、下記事項を明示することが義務付けられました。
それぞれ義務の”レベル感”が違いますが、求人票に明記できるように、各新規求人企業に対するヒアリング項目に追加しましょう。また、既存の求人票についても、再度求人企業へのヒアリングを実施し、修正対応済みの求人票を求職者に開示できるように、追加で情報を取得しましょう。
省令により義務付けられたこと
- 試用期間の有無及び期間、試用期間中の労働条件
- 労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称
- 派遣労働者として雇用しようとする場合は、その旨
こちらは義務になります、確実に取得して記載するようにしましょう。
明示すべきであることが指針に明記されたこと
- 固定残業代制を採用する場合、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業時間、
- 固定残業時間を超えた場合は追加で給与を支払う旨
- 裁量労働制を採用する場合には、その旨
こちらは義務という表現は使われていませんが、明示すべきとのことなので、情報取得して記載しましょう。
求人・求職管理簿、事業報告への記載事項の変更
こちらも報告時に簡単にデータが抽出できるようにしておくことが必要です。今から準備して、報告時に時間をかけずに報告できるようにしておくことが望ましいです。
求人・求職管理簿への記載事項の追加
下記は今まで同様の報告タイミングで、追加で報告すべきこと、報告内容が変更になったものの一覧です。取得しなければいけない情報が増えているので、こちらも合わせて確認して、取得するようにしましょう。
- 労働契約が無期契約の場合は、その旨の記載
- 転職勧奨が禁止される期間(採用年月日から2年間)
- 無期雇用就職者については、就職から6か月以内に離職したか否か
事業報告への記載事項の追加
- 就職人数のうち、無期雇用就職者の数
- 就職人数のうち、6ヶ月以内の離職数
- 就職人数のうち、就職から6か月以内に離職したか否か不明な人数
- 返金規定(採用フィーの返還規定)の有無とその規定内容
- 職業紹介に従事する従業員の人数及び従業員に対する教育の内容
求職者への対応に関する留意点の追加
求職者ができるだけ長く働けるよう、新たに遵守事項が追加されました。責任者の方は、下記項目を遵守できるように、チェックして紹介事業従事者に周知しましょう。
- 自らの紹介により就職した者(無期雇用契約のみ)に対して、就職した日から2年間は、転職の勧奨を行っていけない
- 手数料に関して、返戻金制度を設けることを推奨
- 求職者・求人者双方に、それぞれから受理する手数料の明示が必要
- 求職者等を勧誘するに当たっては、お祝い金等の金銭を支給することは推奨しない
社内の職業紹介責任者への遵守義務の追加
1事業所に必ず必要な職業紹介責任者にも遵守すべき項目が追加されました。
退職などにより、責任者が不在ではないかも含めて再度チェックしましょう。
- 職業紹介従事者への教育義務(外部講習でも可)
- 「厚労省人事労務マガジン」への登録と情報のチェック
まとめ
こちらは全て2018年1月から施行済みの法案です。
みなさんご対応済みでしょうか。後回しにしてしまうと事業運営上の重要な時期に、報告時に多大な時間リソースの投下と精神的ストレスにより、大きな負担を強いられることにすることになります。
もっとも時間をかけるべきは求職者との対話の時間であり、そのためにもできる限り他の業務は効率化しなくてはいけません。
最近では、求人開拓を行わずに人材紹介ができる
求人データベースも出始めています。
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